今日はゆっくりと休み、午後から読書を始める。脱原発科学者故・高木仁三郎氏によるTMIの事故報告の翻訳は実に難しく、色々、脚注はついているのだが、かなり疲れた。

それならばと、ドイツから恋人の中田久仁子さん(現在、高木姓)に宛てた手紙を読み進めた。いわゆるラブレターで終わるのかと思っていたのは間違い。

この高木久仁子さんについて私はほとんど何も知らない。都立大学勤務の時に知り合い、反成田空港運動(三里塚運動)に共に携わったということくらいだ。まだ前夫人と離婚していなかった頃の話。

高木久仁子さんはこのようなことを書く方です。現在、高木仁三郎市民科学基金に関わる。
http://www.minusionwater.com/takagi.htm

先ず、高木仁三郎氏については、あちらこちらで誤りを書いてきた。大学辞職の後は翻訳業などで生計を立てていたし、パトロンを求めて社会党へ接近したのでもない。思想的立場からだったのだろう。

とんでもない誤解だった。その久仁子さん宛の手紙の中には、科学的社会主義を熱心に研究する仁三郎氏の姿がありありと描かれている。政治的立場は、どの左翼グループにも属さないノンセクト。

1971年だが、まさか、『唯物論的認識論と労働の社会化』などという著作の一部を翻訳していたなどとは思わなかった。

だが、これは時代の洗礼というものだろう。ソ連の核兵器は正しいなどと主張するマルクス主義者が大勢いた時代に、仁三郎氏は、イデオロギーに歪曲されたことは一切書かなかった(まだ著作集第一巻を読んでいる途中だが)。

また久仁子さんの口説き方も科学的だった(笑)

「・・・一切のモチーフの根源は、僕がハリ(久仁子さん)を好きだということを、最もウソのない表現で実行しなければならないということではないでしょうか」

情熱的な台詞もあります。

「・・ヤキモチやきのJin(仁三郎氏のこと)は、ハリのことではウヌボレて自信過剰で、僕のものであることを確信しているのです(文句ある?)。消えたって捜し当てるさ(全然発言に気をつけないぞ!!)」

かと思えば、思想家として、

「自然科学などというものも、実証的な物質的基盤に基づいているようでいて、極めて抽象化された数学的な計量性に結局は集約される観念的な抽象の世界である」

なんて名言も残す。

人間って、色々な側面を持った存在で、そこが面白いと思うのです。


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