NEVER ON SUNDAY (日曜はダメよ)
2011年11月5日 日常 コメント (2)大好きな映画のひとつである。メリナ・メルクーリと、夫で監督のジュールス・ダッシン(赤狩りで、ハリウッドから追放されたアメリカ人)が送り出したアメリカ・ギリシャ映画。
ずっと探していたが、かなり昔、テレビで放映されたものを観た。ビデオに録画してあるはず。
ギリシャの「没落」を嘆くアメリカ人が、メリナ・メルクーリ演じる娼婦を教育しようと奮闘する・・・。
この娼婦、日曜は、客をとらず、必ず劇場へ行き、どんな悲劇でも、必ず「そして二人は海へ行きました」というハッピーエンドに変えてしまう。
アメリカの若く単純な「文明」が、深く醸成したギリシャのそれの手のひらの上で弄ばれるのは見ものだ。
エウリピデスの悲劇「(王女)メディア」に題材を得た「女の叫び」も傑作だった。私にとって、これが、メリナの映画としては最後のものになった。是非ご覧になって欲しい。
このメリナ・メルクーリ、亡命先のアメリカから戻り、ギリシャの文化科学大臣にまでのぼり詰めた。世界中に散逸するギリシャの文化遺産をギリシャに戻す運動を展開したことで知られる。
カナダにいた時、隣の部屋はギリシャ人の学生だった。もう名前も忘れてしまったが、食品科学を専攻していた。ある日、カンカンに怒って、アジア人はギリシャを知らないのか?と絡んできた。
聞けば、香港の学生が、ギリシャってどこにあるの?と尋ねたらしい。誇り高いギリシャ人の彼を必死で宥めたものだ。
「腸の病気で大学病院へ通っているが、メディカル英語にはギリシャ語が一杯だ」と言うと、「それはヒポクラテスが現代医学の父だからだ」と。だんだんと怒りが収まってきた。
じゃ、ギリシャレストラン(「タベルナ」という)にでも行こうかと誘った。彼は喜んで、ムサカなど、代表的なギリシャ料理を紹介してくれた(その他の料理の名前はほとんど失念)。ギリシャワインもどうだい?と。
彼が食品科学を専攻しているのは、ギリシャ料理に応用するためとのこと。彼はカナダで生まれたので、カナダ国籍も持っているとのことだったが、ギリシャ人としてのプライドには圧倒された。
唯一、彼が、ギリシャ政府に不満を抱いているのは徴兵制だ。彼も徴兵されたそうで、迷彩服に機関銃を持った自分の写真を見せては文句を言っていた。
部屋には、エーゲ海を背景に映える白壁の家々の絵葉書。そのうち、ギリシャ系カナダ人の彼女の写真も加わった。何回か話したが、とても綺麗で性格も良い娘だった。
帰国間際、100ドルで買った中古のテレビとビデオを50ドルで売った。とても喜んで、ギリシャに来た時は是非寄って欲しいとメルアドを教えてくれた。
ひょっとしてエーゲ海に浮かぶ白亜の家が実家か?と、ちょっと楽しみになったが、一度も連絡していない。
彼らギリシャ人は、Mediterranean(地中海気質の)と呼ばれることもあり、EUでは、後れた生活水準の低い地域の代表だった。ヨーロッパの地中海沿いをいかに成長させるかということを専門にしている部局もEUにはある。
何だろうな、経済がまるでダメじゃないと良いレゲエは生まれない、みたいな部分がギリシャにはある。他にも何人かギリシャ人の友人がいた。その狭い付き合いの中で感じたのがそれだ。
レストランモールに必ずあったのが、薄切りの肉や野菜をピタ(ナンみたいなパン)で挟んだギロピタ(トルコではケバブと呼ぶ)のお店。
羊の肉の塊だと思うのだが、グルグルと回しながらローストし、焼けた部分を包丁で削ぎ取ったものをピタに包む。それだけだが、美味しかった。
学生寮の向いにはインド人が経営する24時間オープンのコンビニがあって、そこでもレンジでチン用のギロピタが売っていた。夜中の3時あたりに、夜食としてよく食べたものだ。
さて「日曜はダメよ」をタイトルにしたが、明日、日曜は、12時から学力テスト対策の特別授業。一度でいいからNever On Sundayと言ってみたい。
ずっと探していたが、かなり昔、テレビで放映されたものを観た。ビデオに録画してあるはず。
ギリシャの「没落」を嘆くアメリカ人が、メリナ・メルクーリ演じる娼婦を教育しようと奮闘する・・・。
この娼婦、日曜は、客をとらず、必ず劇場へ行き、どんな悲劇でも、必ず「そして二人は海へ行きました」というハッピーエンドに変えてしまう。
アメリカの若く単純な「文明」が、深く醸成したギリシャのそれの手のひらの上で弄ばれるのは見ものだ。
エウリピデスの悲劇「(王女)メディア」に題材を得た「女の叫び」も傑作だった。私にとって、これが、メリナの映画としては最後のものになった。是非ご覧になって欲しい。
このメリナ・メルクーリ、亡命先のアメリカから戻り、ギリシャの文化科学大臣にまでのぼり詰めた。世界中に散逸するギリシャの文化遺産をギリシャに戻す運動を展開したことで知られる。
カナダにいた時、隣の部屋はギリシャ人の学生だった。もう名前も忘れてしまったが、食品科学を専攻していた。ある日、カンカンに怒って、アジア人はギリシャを知らないのか?と絡んできた。
聞けば、香港の学生が、ギリシャってどこにあるの?と尋ねたらしい。誇り高いギリシャ人の彼を必死で宥めたものだ。
「腸の病気で大学病院へ通っているが、メディカル英語にはギリシャ語が一杯だ」と言うと、「それはヒポクラテスが現代医学の父だからだ」と。だんだんと怒りが収まってきた。
じゃ、ギリシャレストラン(「タベルナ」という)にでも行こうかと誘った。彼は喜んで、ムサカなど、代表的なギリシャ料理を紹介してくれた(その他の料理の名前はほとんど失念)。ギリシャワインもどうだい?と。
彼が食品科学を専攻しているのは、ギリシャ料理に応用するためとのこと。彼はカナダで生まれたので、カナダ国籍も持っているとのことだったが、ギリシャ人としてのプライドには圧倒された。
唯一、彼が、ギリシャ政府に不満を抱いているのは徴兵制だ。彼も徴兵されたそうで、迷彩服に機関銃を持った自分の写真を見せては文句を言っていた。
部屋には、エーゲ海を背景に映える白壁の家々の絵葉書。そのうち、ギリシャ系カナダ人の彼女の写真も加わった。何回か話したが、とても綺麗で性格も良い娘だった。
帰国間際、100ドルで買った中古のテレビとビデオを50ドルで売った。とても喜んで、ギリシャに来た時は是非寄って欲しいとメルアドを教えてくれた。
ひょっとしてエーゲ海に浮かぶ白亜の家が実家か?と、ちょっと楽しみになったが、一度も連絡していない。
彼らギリシャ人は、Mediterranean(地中海気質の)と呼ばれることもあり、EUでは、後れた生活水準の低い地域の代表だった。ヨーロッパの地中海沿いをいかに成長させるかということを専門にしている部局もEUにはある。
何だろうな、経済がまるでダメじゃないと良いレゲエは生まれない、みたいな部分がギリシャにはある。他にも何人かギリシャ人の友人がいた。その狭い付き合いの中で感じたのがそれだ。
レストランモールに必ずあったのが、薄切りの肉や野菜をピタ(ナンみたいなパン)で挟んだギロピタ(トルコではケバブと呼ぶ)のお店。
羊の肉の塊だと思うのだが、グルグルと回しながらローストし、焼けた部分を包丁で削ぎ取ったものをピタに包む。それだけだが、美味しかった。
学生寮の向いにはインド人が経営する24時間オープンのコンビニがあって、そこでもレンジでチン用のギロピタが売っていた。夜中の3時あたりに、夜食としてよく食べたものだ。
さて「日曜はダメよ」をタイトルにしたが、明日、日曜は、12時から学力テスト対策の特別授業。一度でいいからNever On Sundayと言ってみたい。
コメント
トラベラーズチェックを盗まれて、再発行まで1週間かかったとか、
ギリシャ旅行の洗礼には事欠きません(笑)
やられても、どこか憎めないギリシャ人。計算ずくで悪さをする人間
とは違うんですよね。