久しぶりの土日週休2日だった。

とうとう喪中ハガキも書き終わったし。始めてみれば1時間ちょっとで終わる。偉そうなことを書いたが、お元気ですか?を多用した。

これまで、土曜日といえば、疲れ切って、本を読んでいなかった。マッサージに行ったあと、堰を切るようにページをめくる。

難しすぎると中1の生徒から返品された、ドナルド・キーン『日本人と日本文化』(中央公論社、1972年)。ドナルド・キーンさん、惚れ直しましたわ。

続いて、『高木仁三郎著作集』第4巻(核燃料サイクル批判)を途中まで読んだ。昨日もフクシマから大量の汚染水が垂れ流されたが、そんなこと毎日なんだろう。国民の慣れに元気づく金持ち原子力推進派。

ああ、誓うことなかれ、だ。本当に。多重リクエスト故、図書館に購入依頼が出来ない私。とうとう、買ってしまいました。本は買わないなんて書いていたのに。

ヤンネ・テラー『人生なんて無意味だ』(幻冬舎、2011年)。

中学校を自主的にやめ、スモモの木の上に寝そべって何も考えない訓練をしているピエールは、こういう。

「お前たちが80歳まで生きるとして、そのうち30年は寝ているんだぞ。学校に行って宿題をするのが9年間、仕事を14年ほどする。今まで子供をやって遊んでもう6年以上使っているし、これから先、掃除をしたり料理をしたり子供の世話をしたりで少なくとも12年は必要だから、多くて9年しか生きる時間はない。なのに、お前たちはその9年を、何も意味なんかありゃしない芝居に成功したような振りをしてむだに過ごすんだ。今すぐ、その9年を味わうかわりにね」

元クラスメイトたちは、何とか、ピエールに人生には意味があるのだと説得するために、意味あるものを山積みにしていく。処女を捧げるソフィー、右の人差し指を捧げることになるヤン。

こうしてできた「意味の山」をピエールに見せたが、彼は何も意味が無いという。悲惨なピエールの最期、子供たちに、そして「意味の山」に起きる残酷すぎるほどの仕打ち。

著者は、答を与えない。自分で考えなさいと。大体、人生に意味を与えることができれば、宗教や哲学の終わりだ。

15歳あたりの子供を読者とする本であり、デンマークでは教材として採用されている点が凄いと思う。

日本なら、青少年の自殺誘発本として指定されそうなものが教材か。

長年生きてきた私も、実は、つくずく考えさせられましたよ。その9年をどう生きるか、というより、どう生きてきたか。14年なんて北欧スタンダードで、私なんか、とっくにそれ以上仕事をしていると思うし。

生徒に、時々、死んだ後はどうなるの?なんて質問をされるんですが、自分の信仰を投げ捨て、三途の川というのがあってね、それを越えるとあの世という極楽に行くことになっているんだ、生き返った人がそう証言しているのだから間違いない、などと答えるのです。

自分も15歳のころ、そんなことを考えていて、眠れない一夜を過ごした経験がある。そんな子供にこの本を読ませるべきなんだろうが、親が反対するだろうし。

テレビで、偶然、カウンセラーの大須賀発蔵さんへのインタビュー番組をやっていた。ひきこもりの息子と葛藤してきた母親が、カウンセリングの最後に、希望に満ちて、こう述べたという。

「この子は底に穴の開いた船なんです。だから、一緒に水を掻き出しながら生きていきます」

考えがまとまらないが、生涯、まとまることなどないだろう。そうやって、一杯ずつ水を掻き出しては生きていくのである。そして、生きているということほど美しいものは無いのである。

旅の断章は、また時々、書きたいと思います。今日は、雪道出勤初日。少し時間に余裕をみて。

コメント

美歩
2011年12月7日11:56

「底に穴の開いた船」とても共感できることばです。
そのお母様も葛藤を捨てて、共に生きる方向に向かわれたのでしょうね。
丸ごと受け入れるということは清々しい。

lister
2011年12月7日15:17

☆美歩さん

そうですね。その言葉が出てくるまで、どれほど苦労した
のか。一種の悟りの境地ですよね。

私、みなそれぞれ、船底のどこかには穴があいていると思
うのです。それに気づくかどうかは別として。

nophoto
spkio
2012年1月22日12:56

意味の山はピエールクラスメート達が彼に向けた行動で、
気付かせる目的でした。
ピエールの死で意味の山の意味は消滅したが、、、
クラスメート達は次の意味を見つける事でしょう。
人生の目的や理想は生き甲斐だと思います。

日本の教師が中学生の教材に、この本を使ったら
悲惨の結果になると思う、、、

lister
2012年1月22日17:22

☆spkioさん

そうですね。日本でこの本を教材に使ったら悲惨なことに
なると思います。

今、気付くのは、筆者が、イスラム教に比べて、キリスト
教の否定にページを費やし、意味の山はアメリカの博物館
が買い取ることにしたり、と北欧スタンダードから抜け出
せないんだなということです。

人生の目的は生き甲斐でしょう。それを持っている人には。

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