朝から歯医者。帰宅後、金払いを済ませ、イギリスの友人にバースデーカードを送る。

そういえば、渡辺淳一さんが亡くなった。彼の作品で読んだものは「阿寒に果つ」だけだ。

別名になっているが、登場するのは19歳で命を絶った加清純子という画家だ。

彼女の画集は「わがいのち『阿寒に果つ』とも」として出版されるに至ったが、恐らく「阿寒に果つ」という作品がなければ世に出なかったのではないか。

技量も、天才的というより、早熟というのが当てはまる。高校の同級生である渡辺氏にとっては、ミステリアスな存在でもあったと思う。

19歳で夭逝となっては、忘れられない女性だったのだろう。画集は途中から白黒印刷になり、作品の多くは逸散している。

「阿寒に果つ」を読んで、高校生だった私は、本名も知らない彼女に関して何かしらの手掛かりを得るため、彼女が高校時代を送った札幌や命を絶った阿寒へ飛んだが、よく行っていたはずの喫茶店を始め、何も突き止めることはできなかった。

死因は凍死。もちろん、自ら逝く意志のもとに命を絶ったものだ。雪の上に覆いかぶさるように倒れており、遺体はまるで生きているかのようだっという。

(「阿寒に果つ」を読むと、こういう感じになるが、遺体は相当に傷んでいたというのが真相のようである)

とんがっていた時代、そういう死とか、早熟な芸術肌の少女というテーマは私を惹き付けて止まなかった。

画集が彼女の姉によって発行されたのは大学生になったころだと思う。私は初めて加清純子さんの写真を見て、その作品に触れた。

長い間夢見ているうちに私の中で彼女は偶像化され、神秘の域に達してしたためか、幻想が一気に吹き飛んだのを覚えている。

五十嵐淳子さん主演で映画化もされ、私はそれを観てから画集に出あった。

渡辺さんは、性愛の小説家と呼ばれる。性愛何が悪い!と思う。しかし、「阿寒に果つ」は青春恋愛小説という面が大きい。

渡辺さんにとっては加清さんが初めての相手だったらしいが、師事する画家と肉体関係にあったとも言われ、複数の恋人もいた。

東京の画壇で注目を浴びていた若き画家が初恋の相手で、突如この世を去ったとあれば、作品の中で彼女を永遠に生かせ続けようという目論みがあったのだろう。

今日は1人。

加清純子さんについては、この方のブログが詳しい。
http://artemisia.at.webry.info/201301/article_5.html




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