語り始めた犯罪者

2014年10月13日 日常
曇り。少々寒い。しばらく夜のドライブしかしていなかったので気付かなかったが、街路樹は3割がた落葉して裸木になっている。

冬か。いや、今を楽しむという気持ちになれば、秋にも正当な評価が与えられる。

さて、昨日、ラスネール(殺人犯にして詩人)の回想録を読み終えた。最後の20ページ近くは何者かが加筆したものだと思う。

無神論者にして社会への復讐を誓うラスネールが、ギロチンでの死刑を前に、神へ許しを請い、恩赦の夢を見る訳がない。

恐らく、19世紀の似非科学たる骨相学の僕がラスネールの頭の石膏型をとるあたり、そのあたりまでが本人の書いたものだろう。

ともあれ、こうした回想録が出版されたということは、つまり死刑囚のラスネールが原稿を書くことを許され、そのための環境づくりがなされたということに他ならない。

結末が誰か他の人間によって書かれたにせよ。

19世紀といえば、産業革命を経てヨーロッパが「文明」を作り出したことになっており、その頃の人々は自らを「近代人」と称していた。

この時代、裁判権の保障、陪審員制の確立、拷問の禁止などなど、文明の最も遅れてくるところ、すなわち囚人を取り巻く環境ががらりと変わった。

死刑は、なお残る「未開」の象徴だったと言える。

ラスネールが注目されたのは、他の囚人と違い、彼が高度な教育を受けており、類稀な文才に恵まれていたからである。

残りは次のエントリーで書きます。


コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年6月  >>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293012345

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

日記内を検索