トラウマ~俺の復讐 3 (フェミニストは読まないでください)
2014年12月11日 日常 コメント (2)全ての予定をキャンセルし、復讐3を書きます。まだ復讐2をお読みでない方はそちらをどうぞ。
東北大の教授とはどうなったのか。晩餐は何事もなく終わったのか。そんなことを考えていると、次の日、またK子から電話があった。
シチューを作ったんだけど来るよね?私、listerが来てくれなかったのですごく悲しかった。今日はいいよね?
・・・
来て。
分かった。
私は彼女の言葉をそのまま受け止め、K子のアパートメントへ向かった。
どう、このシチュー?ちょっと意外なものを使っているんだけど。
ん?何かな?
舌がどうかしているんじゃない?誰でも分かるわよ。味噌よ、味噌を隠し味に使っているの。
listerのどこが良かったのか分からない。目が死んでいて頭悪そうだしね。英語も下手だし、スウェーデン語はいつまでも覚えないし。スウェーデン人に失礼だと思わない?
・・・・
馬鹿だね。この前来ればもっと美味しいものをたくさん食べられたのに。そのチャンスを逃して。可哀そうな男よね。こんな男のどこが良いのか全然わからない。
言葉の暴力に私は全てが萎えてしまうような気分を味わったが、少しこの女にも教えておかなければならないと考えた。
・・・俺はね、遊びに来ているんじゃなくて、授業もテストもあるんだよ。論文もね。スウェーデン語検定とは違うんだ。
あのね、私、スウェーデン語検定を受けるだけが目的じゃないの。将来はサーメ(通称ラップ。北欧の先住民族)の研究をして日本で出版するの。分かった?
でも、そんな研究はもう他の人がやっているだろ?それにスウェーデン研究のマーケットは小さいからね。食べていけないよ。
そう?小さいの?元カレがね、大阪で民際関係の研究機関をやっているの。そこから翻訳を頼まれたことがある。きっとあそこなら大丈夫よ。
ああ、あれ?弱小研究機関だよね。無理無理。それに元カレって元カノを避けるもんだし。
きついこと言うんだ。ふ~ん。私は困らないの。○○○航空の定年って60歳だから、それまで勤め続けるんだ。そういう人いるし。
退職金で南の島に移住する。その時は呼んであげるわ。
・・・
ふ~ん、私のこと嫌いになったのんだ?ステュワーデスの給料っていくらか知っている?
英国航空の知り合いが60万って言っていたけど。
それはもらい過ぎね。でも私の給料も悪くないよ。男1人くらいいくらでも養える。お金の使い方がルーズで、今も東京のマンションの部屋代を払い続けているけどね。
名古屋では有名な女子大も出ているし、○○○航空ではパンフのモデルにもなったくらいだからルックスだっていい。でしょ?listerだってそう思ってるよね?
何が不満なの?さあ、全部食べて帰りなさいよ。私、馬鹿な男は嫌いなの!
もうタクシーも呼んでくれなかった。私はてくてくと家路を急いだ。クリスマスが近かった。
年末年始はロンドンの友人宅で過ごす予定だったので、気晴らしもできるだろうと考えることが唯一の救いであった。
私はと言えば、これまでの様々な仕打ちを考えると彼女には二度と近づくべきではなかったのだが、理性ではなく感情がそれを許さなかった。
K子も新しい料理を作る度に電話をかけてきた。こちらには来ないが、私が彼女宅へ出向く分にはご機嫌だった。
いつも話すのは彼女がいかに利口で、私がいかに馬鹿であるかということだった。
昔の日本人学生って黒縁眼鏡をかけて知的に見えたよね。ほら、この写真見て!学徒出陣だけどみんな利口そうな顔。listerはいやらしくて鶏並みの脳しかないんだよね。
この頃には私も彼女のことを多少理解できるようになっていた。時速200キロ超のサーブに手も足も出ないテニス選手ではなかった。
10球に1球は返せるようになっていたし、どこにボールを打ってくるか大体予測することができた。
学歴コンプレックス故の知的欲求。
その辺の大学院生になんて負けないだけの知性を持ち合わせているんだと証明するために、私には答えられない問題を吹っかけ、罵倒し、それで満足する。
アパートメントに招くのはいつも高学歴の男ばかり。CAとお友達になることには、彼らにとっても何らかの利点があったわけだ。
同時に、未婚であることのコンプレックス。ただ一つの解決法は結婚することだ。いつまでもそんなに自分を苦しめて何になるんだ?と。
こうした問題はあるのだが、彼女はそれまで交際した女性の誰よりも興味深いし魅力的だった。
足蹴にされ、口汚く罵られることさえ受け入れ、ますます彼女にのめり込んだのだ。罵倒するのも何らかの愛情であるように思われた。
ビッチのような口の利き方にすら愛着を覚えた。第三者と一緒に居る時はエレガントなマナーで私に接してくれる。
そして何より彼女はゴージャスだった。美しい鳶色の瞳、ピンクの唇、緑の黒髪にすらっと伸びた肢体。
もう私には彼女と肉体関係を持とうなどというさもしい欲望もなかった。
さて、スウェーデンはもともとつまらない国である。誰もが毎終末のパーティーを楽しみにしていた。
私も様々な人のパーティーに参加し、今度はlisterもパーティーを開きなさいという声が聞かれた。
参加するのは簡単だが開催するのは難しいのがパーティー。どうせやるならアジアの民族でパーティーをデザインしたい。
周りには中国人、タイ人、ベトナム人、インド人の友人がいて、合同パーティーは開けないものかと思い始めた。
各国の歌や舞踊や伝統文化を披露してもらえれば盛り上がるぞ!
問題は場所であった。私の学生寮などでは到底不可能。友人たちにはそれとなくアイディアをほのめかしておいたが、問題は物理的なスペースだった。
私は決定的なミスを犯した。K子にアパートメントをパーティーに使わせてくれないかとお願いしたのだ。
どうして私のアパートなの?何考えているわけ?
K子のアパートは広いし、それに、アジア人でパーティを開くにはうってつけだと思って・・・
仕方ない人ね。私との関係、勘違いしていない?
と言葉は厳しかったが、私はOKが取れたと理解した。
そうするうちに、アフリカ人の友達が、lister、大きなパーティーを開くなら会場があるよ、と教えてくれた。
コミュニティーセンターだった。予約してみるが、取れるかどうかはパーティーの1週間前にならなければ分からないと。
私は思い切って頼むことにした。
では、彼女のアパートメントをどうするか?私は火の上を歩くような気持ちでK子に電話をした。
(つづく)
東北大の教授とはどうなったのか。晩餐は何事もなく終わったのか。そんなことを考えていると、次の日、またK子から電話があった。
シチューを作ったんだけど来るよね?私、listerが来てくれなかったのですごく悲しかった。今日はいいよね?
・・・
来て。
分かった。
私は彼女の言葉をそのまま受け止め、K子のアパートメントへ向かった。
どう、このシチュー?ちょっと意外なものを使っているんだけど。
ん?何かな?
舌がどうかしているんじゃない?誰でも分かるわよ。味噌よ、味噌を隠し味に使っているの。
listerのどこが良かったのか分からない。目が死んでいて頭悪そうだしね。英語も下手だし、スウェーデン語はいつまでも覚えないし。スウェーデン人に失礼だと思わない?
・・・・
馬鹿だね。この前来ればもっと美味しいものをたくさん食べられたのに。そのチャンスを逃して。可哀そうな男よね。こんな男のどこが良いのか全然わからない。
言葉の暴力に私は全てが萎えてしまうような気分を味わったが、少しこの女にも教えておかなければならないと考えた。
・・・俺はね、遊びに来ているんじゃなくて、授業もテストもあるんだよ。論文もね。スウェーデン語検定とは違うんだ。
あのね、私、スウェーデン語検定を受けるだけが目的じゃないの。将来はサーメ(通称ラップ。北欧の先住民族)の研究をして日本で出版するの。分かった?
でも、そんな研究はもう他の人がやっているだろ?それにスウェーデン研究のマーケットは小さいからね。食べていけないよ。
そう?小さいの?元カレがね、大阪で民際関係の研究機関をやっているの。そこから翻訳を頼まれたことがある。きっとあそこなら大丈夫よ。
ああ、あれ?弱小研究機関だよね。無理無理。それに元カレって元カノを避けるもんだし。
きついこと言うんだ。ふ~ん。私は困らないの。○○○航空の定年って60歳だから、それまで勤め続けるんだ。そういう人いるし。
退職金で南の島に移住する。その時は呼んであげるわ。
・・・
ふ~ん、私のこと嫌いになったのんだ?ステュワーデスの給料っていくらか知っている?
英国航空の知り合いが60万って言っていたけど。
それはもらい過ぎね。でも私の給料も悪くないよ。男1人くらいいくらでも養える。お金の使い方がルーズで、今も東京のマンションの部屋代を払い続けているけどね。
名古屋では有名な女子大も出ているし、○○○航空ではパンフのモデルにもなったくらいだからルックスだっていい。でしょ?listerだってそう思ってるよね?
何が不満なの?さあ、全部食べて帰りなさいよ。私、馬鹿な男は嫌いなの!
もうタクシーも呼んでくれなかった。私はてくてくと家路を急いだ。クリスマスが近かった。
年末年始はロンドンの友人宅で過ごす予定だったので、気晴らしもできるだろうと考えることが唯一の救いであった。
私はと言えば、これまでの様々な仕打ちを考えると彼女には二度と近づくべきではなかったのだが、理性ではなく感情がそれを許さなかった。
K子も新しい料理を作る度に電話をかけてきた。こちらには来ないが、私が彼女宅へ出向く分にはご機嫌だった。
いつも話すのは彼女がいかに利口で、私がいかに馬鹿であるかということだった。
昔の日本人学生って黒縁眼鏡をかけて知的に見えたよね。ほら、この写真見て!学徒出陣だけどみんな利口そうな顔。listerはいやらしくて鶏並みの脳しかないんだよね。
この頃には私も彼女のことを多少理解できるようになっていた。時速200キロ超のサーブに手も足も出ないテニス選手ではなかった。
10球に1球は返せるようになっていたし、どこにボールを打ってくるか大体予測することができた。
学歴コンプレックス故の知的欲求。
その辺の大学院生になんて負けないだけの知性を持ち合わせているんだと証明するために、私には答えられない問題を吹っかけ、罵倒し、それで満足する。
アパートメントに招くのはいつも高学歴の男ばかり。CAとお友達になることには、彼らにとっても何らかの利点があったわけだ。
同時に、未婚であることのコンプレックス。ただ一つの解決法は結婚することだ。いつまでもそんなに自分を苦しめて何になるんだ?と。
こうした問題はあるのだが、彼女はそれまで交際した女性の誰よりも興味深いし魅力的だった。
足蹴にされ、口汚く罵られることさえ受け入れ、ますます彼女にのめり込んだのだ。罵倒するのも何らかの愛情であるように思われた。
ビッチのような口の利き方にすら愛着を覚えた。第三者と一緒に居る時はエレガントなマナーで私に接してくれる。
そして何より彼女はゴージャスだった。美しい鳶色の瞳、ピンクの唇、緑の黒髪にすらっと伸びた肢体。
もう私には彼女と肉体関係を持とうなどというさもしい欲望もなかった。
さて、スウェーデンはもともとつまらない国である。誰もが毎終末のパーティーを楽しみにしていた。
私も様々な人のパーティーに参加し、今度はlisterもパーティーを開きなさいという声が聞かれた。
参加するのは簡単だが開催するのは難しいのがパーティー。どうせやるならアジアの民族でパーティーをデザインしたい。
周りには中国人、タイ人、ベトナム人、インド人の友人がいて、合同パーティーは開けないものかと思い始めた。
各国の歌や舞踊や伝統文化を披露してもらえれば盛り上がるぞ!
問題は場所であった。私の学生寮などでは到底不可能。友人たちにはそれとなくアイディアをほのめかしておいたが、問題は物理的なスペースだった。
私は決定的なミスを犯した。K子にアパートメントをパーティーに使わせてくれないかとお願いしたのだ。
どうして私のアパートなの?何考えているわけ?
K子のアパートは広いし、それに、アジア人でパーティを開くにはうってつけだと思って・・・
仕方ない人ね。私との関係、勘違いしていない?
と言葉は厳しかったが、私はOKが取れたと理解した。
そうするうちに、アフリカ人の友達が、lister、大きなパーティーを開くなら会場があるよ、と教えてくれた。
コミュニティーセンターだった。予約してみるが、取れるかどうかはパーティーの1週間前にならなければ分からないと。
私は思い切って頼むことにした。
では、彼女のアパートメントをどうするか?私は火の上を歩くような気持ちでK子に電話をした。
(つづく)
コメント
コメントありがとうございます!こちらでは初めてですね。
ツンデレは言い得て妙です。何となく、ああ、そういうことだったのか、と思いました。
とにかく、私はこのおぞましい思い出を払拭したくて書き続けます。あと1回か2回ですがお付き合いいただければ幸いです。