桐生祥秀は何を言おう私の友人の息子である。先日、参考記録ながら100メートル9秒87を叩きだし、世界を驚かした。
その友人が、昨日、明日は桐生祥秀が京都の実家に戻っている、どうだ、会いに来ないか?とメールを送ってきた。
そこで、今日は休みだったので、久しぶりに京都へ旅行した。
私は自慢ではないが195センチの身長。昨年より1センチ伸びたことには驚いた。そして筋トレで鍛えた逆三角形の筋肉体型。
中学、高校と陸上部で活躍し、大学も、その俊足ゆえにスポーツ入学し、やはり100メートルで活躍した。
桐生の9秒87には惜しくも0.02秒及ばなかったが、東洋人で初めて9秒台を叩き出したスプリンターとして世間を沸かしたものである。
久しぶりに走ってみるか、桐生が相手なら不足はない。
京都へ着くと、おい、息子を貸してくれ、と頼み、早速、平安高校のグラウンドへ向かった。
桐生は謙虚な青年で、あなたがあの9秒89を出したlisterさんですか、是非、レジェンドに指導をしていただきたいと。
いやいや、あれはメキシコの高地で出した記録だから参考にはならんよ、何せ空気が薄くて乾燥しており、空気抵抗が低かったからね、と私。
しかし、君もまだ若い、今度こそ正式記録で10秒を切るコツみたいなものはまだ教えられるかも知れない。さあ、私についてこい!
私はその朝、生のニンニクジュース、生姜のスムージー、ウコンの蜂蜜漬け、それに行者ニンニクのおひたしを胃袋にかき入れ、拍動は180を超えていた。
ゆっくりとアキレス腱を伸ばし、太股の筋肉をぶるぶると震わせ、そして、まだ若い者には負けんとヨガのポーズをして桐生を怖気づかせた。
さあ、来い!先駆者として恥じない走りをみせよう!
スタートのタイミングは申し分なかった。桐生の姿は視界になかったから、私はスタートで彼より先を走っていたものと思われる。
おい、若いの、スタート遅いじゃん。果たしてスタートの遅れを走りで取り戻せるか。だが私はそんなにヤワじゃないぞ。
ホンダエンジンのピストンのごとく視認できないほど高速のストロークで脚が交互に動く。昔取った杵柄とはよく言ったものだ。
私のスパイクは地面を蹴り、おいどうした、ついて来れないのか!と桐生を叱咤する。
後ろを振り向いた瞬間、空気抵抗が乱れたのか、桐生青年が私の前に出た!しまった、不覚を取った!
私は桐生青年の背中を見ながら、勢いに乗っているやつにはかなわないや、と呟く。
だが、それも束の間、桐生のペースが乱れ、前のめりになっている!どうした!先輩への気遣いはいならないぜ!
最後の10メートルだっただろうか、私は抜き返し、そのまま頭一つ分の余裕を保って桐生より先にゴールした。
いや、記録としては凡庸なもので、私の記録は10秒08。桐生君は10秒09。
桐生君、どうしたんだい?ブランクのある私に負けたのは何故だ?
彼は爪先を上げ、指差した。それはお洒落なリーボックのスニーカーだった。
私はミズノのスパイク。一日の長があった。
どんな相手でもベストで臨む、それが勝負の世界で生き残るために必要なことだ。そういう教訓を桐生君に学ばせることができて私は満足だ。
不満が残るとすれば10秒を切れなかったことか。
しかし、今日が充実した休日となったことには些かの疑義も無い。
その友人が、昨日、明日は桐生祥秀が京都の実家に戻っている、どうだ、会いに来ないか?とメールを送ってきた。
そこで、今日は休みだったので、久しぶりに京都へ旅行した。
私は自慢ではないが195センチの身長。昨年より1センチ伸びたことには驚いた。そして筋トレで鍛えた逆三角形の筋肉体型。
中学、高校と陸上部で活躍し、大学も、その俊足ゆえにスポーツ入学し、やはり100メートルで活躍した。
桐生の9秒87には惜しくも0.02秒及ばなかったが、東洋人で初めて9秒台を叩き出したスプリンターとして世間を沸かしたものである。
久しぶりに走ってみるか、桐生が相手なら不足はない。
京都へ着くと、おい、息子を貸してくれ、と頼み、早速、平安高校のグラウンドへ向かった。
桐生は謙虚な青年で、あなたがあの9秒89を出したlisterさんですか、是非、レジェンドに指導をしていただきたいと。
いやいや、あれはメキシコの高地で出した記録だから参考にはならんよ、何せ空気が薄くて乾燥しており、空気抵抗が低かったからね、と私。
しかし、君もまだ若い、今度こそ正式記録で10秒を切るコツみたいなものはまだ教えられるかも知れない。さあ、私についてこい!
私はその朝、生のニンニクジュース、生姜のスムージー、ウコンの蜂蜜漬け、それに行者ニンニクのおひたしを胃袋にかき入れ、拍動は180を超えていた。
ゆっくりとアキレス腱を伸ばし、太股の筋肉をぶるぶると震わせ、そして、まだ若い者には負けんとヨガのポーズをして桐生を怖気づかせた。
さあ、来い!先駆者として恥じない走りをみせよう!
スタートのタイミングは申し分なかった。桐生の姿は視界になかったから、私はスタートで彼より先を走っていたものと思われる。
おい、若いの、スタート遅いじゃん。果たしてスタートの遅れを走りで取り戻せるか。だが私はそんなにヤワじゃないぞ。
ホンダエンジンのピストンのごとく視認できないほど高速のストロークで脚が交互に動く。昔取った杵柄とはよく言ったものだ。
私のスパイクは地面を蹴り、おいどうした、ついて来れないのか!と桐生を叱咤する。
後ろを振り向いた瞬間、空気抵抗が乱れたのか、桐生青年が私の前に出た!しまった、不覚を取った!
私は桐生青年の背中を見ながら、勢いに乗っているやつにはかなわないや、と呟く。
だが、それも束の間、桐生のペースが乱れ、前のめりになっている!どうした!先輩への気遣いはいならないぜ!
最後の10メートルだっただろうか、私は抜き返し、そのまま頭一つ分の余裕を保って桐生より先にゴールした。
いや、記録としては凡庸なもので、私の記録は10秒08。桐生君は10秒09。
桐生君、どうしたんだい?ブランクのある私に負けたのは何故だ?
彼は爪先を上げ、指差した。それはお洒落なリーボックのスニーカーだった。
私はミズノのスパイク。一日の長があった。
どんな相手でもベストで臨む、それが勝負の世界で生き残るために必要なことだ。そういう教訓を桐生君に学ばせることができて私は満足だ。
不満が残るとすれば10秒を切れなかったことか。
しかし、今日が充実した休日となったことには些かの疑義も無い。
コメント
は~い、今年も楽しく読ませて頂きました^^
京都往復、おつかれさまでした。
一番驚いたのは、背が伸びられたことです。
来年は?と楽しみです^^
久しぶりの京都は良かったですよ~(笑)
身長はまだまだ伸びそうです。来年は2メートルを超しているでしょう。
毎年、同じネタでお粗末様でした。
来年は新作を考えますぞ。