福島第一原発が爆発した時、東京電力と自衛隊はどこに助けを求めたか。

在日本米国大使館であった。

いくら頼りない民主党政権であったとはいえ、福島第一原発は日本の法令に従って建設され運転されていたのである。日本政府をパスしてアメリカに頼るとは。

どうしたらいいでしょう?何をしたらいいでしょう?そんなことをアメリカ大使館に訊ねていた東京電力。

米国GE社設計の福島第一原発ではあったが、東電は、事故の時どう対処すればよいのか知らないまま運転していたことになる。

マニュアルに炉心メルトダウンを判断すべきデータが載っていたことに5年も気付かなかった(気付いていただろう)東電ではある。

東電のまともな社員はみな退社して、残ったゾンビたちは今もって何をすべきなのか全く知らない。増収増益で黒字経営だという。

自衛隊は、アメリカ大使館に、あれを出動させてください、これを貸してください、費用は無料だと存じております、と安保条約の履行を迫るような要請をした。

安保条約が出動されるような軍事的事態はこれまでのところ起きていないが、フクシマこそは日米安保を頼るべき初めての正当な事由だった。

当初、日本は原発を持つ資格がないという批判が多かった。その通りではあるが、原発政策に関する限り、そもそも日本政府はアメリカ政府の代理店である。

また、チェルノブイリとフクシマの比較で分かることは、原発事故に対処できるのは軍事的オペレーションが得意な軍事国家だけだということである。

大津地裁が、稼働中の原発としては初めて高浜原発3,4号機の運転差し止めを命じる仮処分を出した。

フクシマの前と後で変わったことは、電力会社でさえ、原発は事故を起こすものだという前提で事故対策を行なうようになった点である。

信じられないことだが、フクシマ前は、原発は安全で事故など起きないという前提で日本全体が動いており、裁判所もそれに従った判決を出していた。

法は科学を裁けるかということが問題となり、フクシマは、司法の誤りと敗北を明らかにした。

今回のは仮処分であり、判決が原発の是非に言及したわけではなく、今後も、司法は謙抑的に科学へ臨み、特定の科学的見解を支持などしてはいけない。

原発に関して司法が関与できるのは、原発「政策」が安全性を十分に担保しているかどうかという判断に絞られる。

そして、そのことがまさに必要十分に重要なのだ。安全神話を忘れフクシマという原発災害を忘れないという精神が裁判所のみならず全ての国民にとって必須だ。

関電は来月からの電力自由化に生き残るべく5月からの電気料金値下げを発表していたが「安い」原発の運転が止められたことでそれが不可能になったとのたまった。

超バカの壁である。これまで再三の値上げをしており、原発なしでも黒字経営になった企業が述べる事柄ではない。

純経済的、長期的視野からは原発は高くつくのであり経済合理性にも反している。

今後、電力会社が「安い」原発起源の電力を供給したところで、フクシマの後始末でこれまで政府と東電が支払った金額を相殺することはないであろう。

正直、電力自由化に伴う電気料金値下げの効果には私もがっかりしている。新電力の値引きが余りにも小さい。

それでも、1円でも安くなるのなら、原発無しの電力を供給する電力会社に乗り換えるべきなのだ。

皮肉にも、東電を始め、ほとんどの旧電力会社が、現状では、原発による発電ゼロということなのだが。

ここまでは経済的な側面で述べてきたが、本当の問題はそこにはない。

コスト=ベネフィットという考え方がある。あることを行なうときに発生する危険性と利便を計りにかけるというものだ。

原発なら安い電力を供給できる(これは事実関係に照らして誤りである)のだから事故を起こした時の不利益を上回る利益があるというのが旧電と政府の説明だ。

しかしコストが人命に関わるとき、経済的利益などと比べてはならない。

放射線の影響かどうかは問わない。フクシマの人体に対する影響の易学的調査を徹底的に行なうべきだが、政府も東電も行なっていない。

だがしかし、フクシマが起きなければ失われるはずのない命が、事実、たくさん失われているのだ。

安い電気と生命のどちらをとるか?こんな計算はなされてはならないのである。

もう5年かという感がある。正直そうだ。あの時の記憶は大いに減衰している。

ところが、フクシマの後始末を考えると、まだ5年か、というのが、いや、あと何十年かかるのか、いや、そもそも、後始末なんてできるのか、というのが実情だ。

1万人規模での集団訴訟が東電に対して起こされている。社会面でもまだまだこれからなのである。

今日は1人教える。誤字脱字失礼御免。

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