思い出

2016年12月11日 日常
何故かこのシーズンになると思い出すことがある。

親から数百円をもらって妹と離れた繁華街まで遊びに行った時。

私はラジコン雑誌がどうしても欲しくて衝動買いしてしまった。

帰りのバス賃が足りなくなった。

私はどうしようか思案した。

「あの・・・このお金で行けるところまでお願いします」と車掌に有り金すべてを見せた。

「19丁目までしか乗れないけどいいの?」と車掌が怪訝そうな顔でたずねた。

「いいです。じゃ19丁目で降ろしてください」と私は答えた。

妹が不安そうな表情をしている。何の相談もなく私の独断で決めたことだ。

19丁目はすぐだった。

「ここで降りるの?どうして?」と妹がたずねた。

「いいから降りるんだ。あとは歩けばいい」

川の土手はずっと先まで続いていた。私は妹の手を取り黙々と歩いた。すると妹が泣き出した。

「何で泣くんだよ!」

「足が痛い」

おめかしをしたかったのだろう。ずっと下駄箱にしまっていたお気に入りの靴を履いていた。

靴を脱がせると靴下に血が滲んでる。靴擦れができていた。

「よし、じゃあお兄ちゃんがおぶってやるよ」

1時間ほどだったか、私は妹を背中におぶり歩き続けた。

最初は軽かった妹のからだが、仕舞には、鉛のように重く感じられた。

「遅かったね。どうしたの?」と母がたずねた。

「ちょっとね」

私は妹の方を見た。きっと親にばらす気だ。

ぐったりとした妹は何も理由を言わず布団にもぐった。私の失敗に付き合わされたということは知っていたはずなのに。

結局、妹の人生は私の失敗の後始末に追われる毎日だった。そして私は「ごめん」という一言をいいのがした。






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