『四畳半襖の下張り』わいせつ裁判とは何だったのか?単なる過去か?(2)
2017年1月16日 日常本裁判に関わった弁護士は、伊達秋雄、中村巌、三宅陽、小谷野三郎、藍谷邦雄の5名である。
冒頭、弁護人はテープによる録音の許可を申請したが大前邦道裁判長に却下される。速記者の同席は認められる。担当検察官は平井令法、久我逸夫であった。
次に、この裁判が、いわゆる文芸裁判であり、文学に通じた特別弁護人3名を公判に参加させるよう同裁判長に要請したが、許可されたのは丸谷才一(作家、批評家)だけであった。
この裁判には有名作家を含む14人の証人が証言した。16名申請したが2名は却下された。認められた証人は以下の通りである。
五木寛之(作家)、井上ひさし(作家)、吉行淳之介(作家)、開高健(作家)、吉田精一(大妻女子大学教授、永井荷風研究家)、中村光夫(明治大学文学部教授、作家、批評家)、寺田博(『文藝』編集長)、金井美恵子(作家)、榊原美文(帝塚山大学教授)、石川淳(作家)、奥平康弘(東京大学教授)、水沢和子(主婦)、田村隆一(詩人)、有吉佐和子(作家)である。
弁護人、被告人、および証人が訴えたのは大体以下の通りである。
1)『四畳半襖の下張り』は金阜山人という偽名を使っているが、永井荷風の作品である。したがって、文学的価値があり、民俗学の資料ともなっている。
2)同作品は擬古文で書かれており、義務教育を受けた程度では読解不可能である。また現在では使われていない用語が多数出てくる。
3)同作品は。「徒(いたずら)に性欲を刺戟する」ものではない。したがって「わいせつ」ではない。また「いたずらに」の意味が不明である。
4)そもそも、わいせつ物頒布等の罪を定めた刑法175条の「わいせつ」の意味内容が不明確で憲法第31条の定める罪刑法定主義に反する。
5)刑法175条は、表現の自由を保障する憲法21条に反し違憲である。
6)『四畳半襖の下張り』に判決が下された1950年と比べて日本の性風俗に対する社会通念は大きく変化し性を開放的にとらえるようになっている。
7)北欧やドイツでは「わいせつ物」の頒布、販売に対する刑法罰が撤回され、それでいてそれらの国の性風俗は乱れていない。アメリカの判例も性解放に向かっている。
見逃している論点があるかも知れないがご容赦いただきたい。
続きは後で書きます。
冒頭、弁護人はテープによる録音の許可を申請したが大前邦道裁判長に却下される。速記者の同席は認められる。担当検察官は平井令法、久我逸夫であった。
次に、この裁判が、いわゆる文芸裁判であり、文学に通じた特別弁護人3名を公判に参加させるよう同裁判長に要請したが、許可されたのは丸谷才一(作家、批評家)だけであった。
この裁判には有名作家を含む14人の証人が証言した。16名申請したが2名は却下された。認められた証人は以下の通りである。
五木寛之(作家)、井上ひさし(作家)、吉行淳之介(作家)、開高健(作家)、吉田精一(大妻女子大学教授、永井荷風研究家)、中村光夫(明治大学文学部教授、作家、批評家)、寺田博(『文藝』編集長)、金井美恵子(作家)、榊原美文(帝塚山大学教授)、石川淳(作家)、奥平康弘(東京大学教授)、水沢和子(主婦)、田村隆一(詩人)、有吉佐和子(作家)である。
弁護人、被告人、および証人が訴えたのは大体以下の通りである。
1)『四畳半襖の下張り』は金阜山人という偽名を使っているが、永井荷風の作品である。したがって、文学的価値があり、民俗学の資料ともなっている。
2)同作品は擬古文で書かれており、義務教育を受けた程度では読解不可能である。また現在では使われていない用語が多数出てくる。
3)同作品は。「徒(いたずら)に性欲を刺戟する」ものではない。したがって「わいせつ」ではない。また「いたずらに」の意味が不明である。
4)そもそも、わいせつ物頒布等の罪を定めた刑法175条の「わいせつ」の意味内容が不明確で憲法第31条の定める罪刑法定主義に反する。
5)刑法175条は、表現の自由を保障する憲法21条に反し違憲である。
6)『四畳半襖の下張り』に判決が下された1950年と比べて日本の性風俗に対する社会通念は大きく変化し性を開放的にとらえるようになっている。
7)北欧やドイツでは「わいせつ物」の頒布、販売に対する刑法罰が撤回され、それでいてそれらの国の性風俗は乱れていない。アメリカの判例も性解放に向かっている。
見逃している論点があるかも知れないがご容赦いただきたい。
続きは後で書きます。
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